平成22年度科学研究費補助金の採択結果が公表され、応募していた課題が内定されました。
基盤研究(B)(H22~24年度)「啓蒙期以後のドイツ・フランスから現代アメリカに至る、哲学・教育・大学の総合的研究」(研究代表者:西山雄二、研究分担者:大河内泰樹、齋藤渉、藤田尚志、宮崎裕助)私たちは2007年から共同研究「哲学と大学」(UTCP短期教育プログラム)において、哲学者の大学論の批判的考察を積み重ね、その成果を論集『哲学と大学』(未來社、2009年)として刊行しました。次期は、研究対象を独仏啓蒙期および現代アメリカの動向に拡充させます。映画「哲学への権利」の上映・討論会の海外での開催も主要な活動軸となり、韓国、ドイツ、イギリス、中国と巡回上映を続ける予定です。
〈研究目的概要〉
これまでの共同研究「哲学と大学」では、18世紀以来の各哲学者の大学論が批判的に考察され、哲学の営みと大学の制度や理念との関係が問い直された。その発展的継承である本研究の目的は、ドイツ、フランス、アメリカの三地域において、哲学者や思想家の大学論や教育論、学問論を検討し、哲学、大学、教育をめぐる原理的な問い(啓蒙、有用、学際性など)を多角的に考察することである。本研究は、一方で、近代的な大学の黎明期と言える18世紀末から19世紀のドイツとフランスに焦点を絞り、啓蒙思想の源流から教育思想や大学の制度論が浮かび上がって来る歴史的・哲学的な文脈を明らかにする。また他方で、20世紀後半にアメリカで進展した学際性の理念を、デリダの脱構築思想の影響を踏まえつつ、人文学の可能性という視点から反省的に考察する。近代の端緒とポスト・モダンという相反するようにみえる二つの時代において、哲学、教育、大学をめぐる問いを総合的に考察することが本研究の最終的な目的である。
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