【報告】パリ第8大学(Bruno Clément, Anne Berger) 公式HP映画「哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡」

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【報告】パリ第8大学(Bruno Clément, Anne Berger)

2010年2月19日、パリ第8大学にて、Bruno Clément(パリ第8大学), Anne Berger(同前)とともに上映・討論会がおこなわれた。冬休み前だったためか、15名ほどの参加にとどまったが、両氏との真摯な討論によってきわめて実り多い会となった。

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アンヌ・ベルジェ氏の的確な要約によれば、国際哲学コレージュでは、「ひとつ以上(Plus d’un)」が追求される。思考が生み出されるのは、ひとつ以上の言語、ひとつ以上の国籍、ひとつ以上の学問分野を通じてだからである。

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ブリュノ・クレマン氏は、デリダが取り組んだ「哲学教育研究グループ」(GREPH:Groupe de Recherches sur l’Enseignement Philosophique)の的確な理解が重要だとした。1970年代、デリダは哲学教育の削減政策に対抗して、GREPHを結成して批判的運動を展開した。ただ、実用的な教育政策方針を打ち出す保守派の力と、デリダに反発する多数の哲学者の力によって、GREPHは行き詰まってしまう。その後、左派政権誕生という転機が訪れ、彼は国際哲学コレージュの創設にこぎつける。「国際哲学コレージュはGREPHの失敗から生まれた」、とデリダは言う。つまり、GREPHという「運動」では成しえなかったことを、「制度的実践」によって達成するにはどうすればよいのか、という問いがコレージュには込められているのである。

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(映画のラストシーンより)

 
映画は最後に、電車の車窓から撮影されたエッフェル塔の二重写しのイメージで終わる。クレマン氏は、この二重のイメージが本作とコレージュとの関係を的確に映し出しているとした。つまり、インタヴュイーが語るコレージュと「本当の」コレージュのあいだで、その理念と現実のあいだで国際哲学コレージュは揺れ動くのである。

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討論を通じて、現在の大学と国際哲学コレージュに共通する同音異義語が指摘された。現在、大学の「自律性(autonomie)」が促進され、資金や運営面で大学の自己責任が問われている。デリダもまた、自律性を考慮に入れているが、それは実現しえない来るべき自己の掟(autos-nomos)としてであるだろう。また、コレージュでは学位(titre)ではなく、応募者の計画(projet)によって、プログラム・ディレクターが選出される。それは、哲学へのアクセス権を保証するための「計画」である。これに対して、現在、研究分野で流行している「計画」は、競争的資金を獲得し、成果を上げるという循環を指す。今日の大学制度を問うにあたって、国際哲学コレージュが試みる諸概念の脱構築が有益であることが確認された。

パリ第8大学上映の準備や運営に関しては、河野年宏さん、柿並良佑さん、水田百合子さんにたいへんお世話になった。心からの感謝を記しておきたい。

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[ 2010/02/19 23:10 ] 上映報告(海外) | TB(0) | コメント(-)

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