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【報告】ボッフム大学、ヴッパータール大学 公式HP映画「哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡」

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【報告】ボッフム大学、ヴッパータール大学

ライプツィヒからICE特急列車で東から西へと7時間の移動。フランクフルトで列車を乗り換え、ライン川沿いの古城と葡萄畑を眺めながら、北上してヴッパータールに到着した。ヴッパー河を挟んで両側に山稜が広がるヴッパータールはルール地方の小都市。河の上方を世界でも珍しい懸垂式モノレールが駆け抜けていく。遊園地でお目にかかるような二両編成のその実に愛らしい姿と、左右に揺れながら走行する車内での不思議な感覚はとても印象的だった。

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(ヴッパー河上を走る懸垂式モノレール)

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(フリードリヒ・エンゲルスの家。エンゲルス家は5軒を所有していたが、現在はこの小さな家しか残っていない。)
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5日にボッフム大学、6日にヴッパータール大学において、エラスムス・ムンドゥス(ユーロ・フィロソフィー)・プログラムの学生団体の主催で、フォーラム「哲学の制度」が開催され、両日の最後に映画が上映された(企画運営:長坂真澄。のべ35名の参加)。

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(巨大な総合大学・ボッフム大学。)
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エラスムス・ムンドゥスは、世界各国の修士課程の学生を対象にドイツ・フランスの哲学の習得を目的とする。選抜された少数の学生たちは、フランス・トゥルーズ大学、ドイツ・ヴッパータール大学、チェコ・プラハ大学、ベルギー・新ルーヴァン大学などを毎学期移動しながら、独仏語で哲学を学ぶ。この回遊的な知のプログラムは2007年に開始され、これまでに意欲的な日本人学生が5名参加している。詳細はこちら

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(山の丘にあるヴッパータール大学。どことなく神戸大学を思い出した。)
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(大河内氏に対するラズロ・テンゲイ教授の質疑。テンゲイ氏の故郷・ハンガリーでは昨年来、右派フィデス政権によって哲学者が迫害されている。言論の自由を制限するメディア規制法が可決されたが、これに抗議するアグネス・ヘラーら哲学者たちは研究補助金の不正使用の嫌疑をかけられて告訴された。テンゲイ氏は国内外に公開書簡を送って支援を呼びかけ、大河内氏は日本で賛同署名をおこなった。この日は集まった200筆以上の署名がテンゲイ氏に手渡され、哲学者弾圧の現状を聞くことができた。〈哲学への権利〉は自明のものではない。詳細は、HP「ハンガリー政府による学術への政治介入と哲学者への攻撃について」、大河内泰樹「ハンガリーで哲学者迫害」『週刊金曜日』2011年4月15日号を参照。)

フォーラム「哲学の制度」では、主にエラスムスの修了生が集い、フッサール、デリダ、フィンク、フーコー、アーレント、アルチュセールなどに関する発表が並んだ。同行した大河内泰樹もまた、発表「世俗化、国家、哲学――ヘーゲルにおける大学の世界史的規定」をおこなった。エラスムスの修了生によるフォーラムだけあって、発表・質疑応答はドイツ語とフランス語で柔軟におこなわれた。

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科研費の資金を用いて海外で学術的催事を開催する場合は、問題が起こらないように細心の注意を払う。東から西へと移動しながら、慣れないドイツでの4回の上映会が無事に終了した。企画運営を引き受けてくれた現地の方々、同行してくれた方々にはあらためてお礼を申し上げたい。
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[ 2011/05/06 09:10 ] 映像作品 | TB(0) | コメント(-)