【報告】ライプツィッヒ大学(ウルリッヒ・ヨハンネス・シュナイダー、小林敏明、斎藤渉) 公式HP映画「哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡」

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【報告】ライプツィッヒ大学(ウルリッヒ・ヨハンネス・シュナイダー、小林敏明、斎藤渉)

5月3日、ICE特急列車で約1時間移動して、中世以来の学芸の町・ライプチッヒに到着。商業や金融で栄えてきたこの小都市では、17世紀に印刷や出版も盛んとなり、長い間ドイツの出版物の半数がこの街で印刷されていた。トーマス教会専属のオルガン奏者兼指揮者としてバッハが長年活躍したことでも知られている。

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(トーマス教会前のバッハの銅像)
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(ライプチッヒ大学図書館)
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(哲学科前の掲示板)

ライプチッヒ大学はハイデルベルク、ケルンに次いでドイツで3番目に古い。アルベルチーナ図書館のホールにて映画が上映され、30名ほどが参加した。討論では、同大学のウルリッヒ・ヨハンネス・シュナイダー(Ulrich Johannes Schneider)、小林敏明、斎藤渉が登壇した。(企画運営:Fabian Schaefer)

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学生時代、フーコーのもとで研究していた図書館長のシュナイダー氏は、1989-92年に国際哲学コレージュのディレクターを務めていた。ドイツでフーコーは冷遇されていたため、優れた業績に恵まれながらも、シュナイダー氏はなかなか正規ポストに就けなかったという。最終的に得た図書館長職は、ドイツでは副学長にも匹敵する役職である。

シュナイダー氏は、哲学のための自由な場所を創設するというデリダの意図は、映画で十分に表現されているが、その背景を説明しておきたい、とした。ドイツと比べて、フランスでは高校や大学で哲学はやはり高い地位にある。哲学の活動を根本的な仕方で開放するためにデリダは尽力した。例えば、コレージュの国際性は当時、革命的で非凡な試みである。デリダはテクストそれ自体にこだわり、自明にみえるテクストの繊細な読み方によって哲学を開放したと言える。ドゥルーズが哲学以外のものとの関係において哲学を見い出したのに対して、デリダは哲学の核心にとどまり続けることで哲学の外部へと抜け出したのではないか。その意味で、デリダはたんに哲学的な態度を貫いただけでなく、哲学を急進化することできわめて政治的な振る舞いをも示したと言える。次回はこのデリダ哲学の政治的な急進性に関する映画を製作していただきたい。

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斉藤渉は、「なぜ日本人研究者がフランスの国際哲学コレージュに関する記録映画を製作しなければならないのか」と疑問を抱くかもしれないドイツの聴衆に対して、個人的な注釈を加えた。本作を観ると、研究教育をめぐる制度と権力の関係に気づかされる。斉藤自身は監督・西山と同世代で、日本の大学改革という共通の経験をもつ。そうした経験を経て映画を上映し続ける「勇気」に、聴衆は共鳴することができるのではないか。

小林氏は、60年代を経て日本では哲学の寺子屋や水俣病に端を発する自主講座が在野に開かれたが、そうした大学制度外の知的運動体をどう考えるのかと問うた。また、デリダとハーバーマスが比較されて、文学と政治の対立で評価されることがあるが、本映画を観て、教育への政治的介入という点でデリダの方がある意味で政治的に成功していたのではないか、とコメントした。

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討議は、通訳者を立てずに、参加者全員が理解できるように、話者自身が順次2か国語で話すという方式で実施された。登壇者と聴衆はドイツ語+日本語、ドイツ語+英語、英語のみ、と各自が異なる仕方で議論をした。効率は多少悪いかもしれないが、その都度、異なる音調と音色で言葉が交わされる緩やかな経験は興味深く、古都ライプチィヒの落ち着いた雰囲気とどことなく調和している気がして心地良かった。
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[ 2011/05/03 08:13 ] 上映報告(海外) | TB(0) | コメント(-)

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