旅への誘い ― 映画『哲学への権利』、韓国での巡回上映を終えて 公式HP映画「哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡」

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旅への誘い ― 映画『哲学への権利』、韓国での巡回上映を終えて

現に自分が今いる場所とは異なる他の場所に行きさえすれば、万事がつねにうまくいくだろう、と思われる。この居場所を変えるという問題は、私が自分の魂と絶えず議論を交わすという問題のひとつだ。―ボードレール「この世界の外へなら何処へでも」

2010年9月27-28日の韓国での映画上映と討論会は濃密な2日間で、質疑応答を含めて実に実りある成果をあげることができた。東京大学UTCP以来、韓国への出張は4度目になるが、韓国の友人たちのおかげで毎回、豊かな学術交流に成功している。心より感謝する次第である。

これまで私は独りで映画上映を続けてきた。だが今回の旅は科研費「啓蒙期以後のドイツ・フランスから現代アメリカに至る、哲学・教育・大学の総合的研究」によって実施され、宮崎裕助氏、藤田尚志氏が同行した。同輩の若手研究者でチームを組み、寝食をともにしながらの海外出張は、各々の思考を共鳴させる意味でも良い経験だった。来年以降もドイツ、イギリスと海外上映が続くが、この科研費チームの共同によって学術交流を成功させていきたい。

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さらに特筆すべきは、今回の上映に合わせて、学生や一般市民ら10名ほどが韓国に旅立った点である。彼らは映画上映を通じて知り合った人々だが、韓国が近隣であることもあり、多数の日本人同行者が上映会に参加した。それは移動ゼミのようでもあり、懇親会でも日本と韓国の人々のあいだで濃密な交流がおこなわれた。発表者だけでなく、聴衆も含めて国際的な交流が、規定の学術プログラムとしてではなく、自発的な形で達成されたたぐい稀な好例だろう。

そして、今回、映画を上映させていただいた場所がそもそも魅力的な場所だった。一方で、大学制度の外に在野の知的共同体を創設したスユ+ノモ。他方で、国家の潤沢な支援を受ける、大学制度圏の重要拠点であるHK事業の延世大学韓国学術研究院。在野と大学、運動と制度、国家や資本の外部と内部といった両極の場所で、本作をめぐって議論がなされた意義は大きい。両者は韓国において、人文学の新たな枠組みを模索する最前線だからだ。本作がこうした先鋭的な場所で議論されることで、不思議な知的化学反応が引き起こされ、あまりにも刺激的な体験だった。

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今回の韓国上映を機に、映画『哲学への権利』の旅は新たな段階に入った。韓国のホテルでは、イギリスとブルガリアの友人から上映依頼のメールが届いた。新たな風景を前にして、多くの同伴者と共に、さらなる旅への誘いを予感せずにはいられない。

   さすらいの旅の想いを乗せて、お前の望みに尽くすために、
   船は来る、遠くこの世の極みから  ―ボードレール「旅への誘い」
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[ 2010/09/28 02:11 ] 上映報告(海外) | TB(0) | コメント(-)

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