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国際哲学コレージュでの活動 公式HP映画「哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡」

本ブログでの情報はすべて個人HPに移動しました。今後はそちらでの閲覧をお願いします。⇒http://www.comp.tmu.ac.jp/nishiyama/

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国際哲学コレージュ新議長マチュー・ポット=ボンヌヴィル

ryu 2010年9月30日、パリの国際哲学コレージュで議長選がおこなわれ、4名の候補の中からマチュー・ポット=ボンヌヴィルMathieu Potte-Bonneville氏が選出された。任期は2010年10月から3年間。若干42歳のポット=ボンヌヴィル氏はパリ郊外の高校教師。ミシェル・フーコー研究者。政治と文化を横断的にとり上げる雑誌「ヴァカルムVacarme」の編集メンバーでもある。4人の副議長も任命され、ボヤン・マンチェフ氏に代わりジゼル・ベルクマン氏が国際連携担当を務めることになる。
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[ 2010/10/02 23:51 ] 国際哲学コレージュでの活動 | TB(0) | コメント(-)

国際哲学コレージュ、新規のプログラム・ディレクター一覧

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国際哲学コレージュの2009年度のプログラムが終了し、夏季休暇に入った。HPには、2010年10月からの新規のプログラム・ディレクター一覧が公開された。http://www.ciph.org/college.php?rub=actualite

フランスのディレクターは、Salim Abdelmadjid, Hicham-Stéphane Afeissa, Gilles Barroux, Ali Benmakhlouf, Philippe Büttgen, David Dubois, Safaa Fathy, Eric Guichard, Christian Laval, Seloua Luste Boulbina, Joëlle Marelli, Laura Odello, Xavier Papais, Stéphane Pujol, Barbara Safarova, Guillaume Sibertin-Blanc, Bruno Verrecchiaの17名。私がかろうじて知っているのは、映画『デリダ、異境から』の監督サファー・ファティ、アラブ哲学と論理学の若き秀才アリ・ベンマクルーフだけだ。

外国人ディレクターは、Marie-Claire Caloz-Tschopp(スイス), Roberto Nigro(イタリア), Yuji Nishiyama(日本), Andrea Pinotti(イタリア), Paolo Quintili(イタリア), Gabriel Rockhill(アメリカ), Diogo Sardinha(ポルトガル), Ashley Thompson(イギリス)の8名。

40歳前後の若手も多く選出されており、全体的に組織は若くなるのではないだろうか。コレージュは大変な困難な時期にあり、研究教育活動を再建できるかどうかが次期の課題になる。9月末に議長選があり、10月から新体制発足である。
[ 2010/07/01 23:14 ] 国際哲学コレージュでの活動 | TB(0) | コメント(-)

国際哲学コレージュのプログラム・ディレクター(2010-2016年度)に選出

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昨年からの公募審査を経て、この度、国際哲学コレージュのプログラム・ディレクター(2010-2016年度)に選出される運びとなりました。コレージュでは3年に一度半数のディレクター(25名)が改選されるのですが、昨年12月に次期公募があり、内部および外部審査を経て結果が公表されました。今回の外国人枠は5名程度ですから、重要で貴重な機会を与えていただいたことになります。

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研究計画は、ここ数年取り組んでいる哲学者の批判的大学論を基軸としたもので、「哲学の(非)理性的建築物としての大学(L'université comme architechture (ir)rationelle de la philosophie)」と題されています。計画は以下の3点から構成されています。
1)大学の構造――諸学問分野からなる大学の内的構造、資本主義社会との関係における大学の外的構造という二重の構造性から大学の開放性と閉鎖性、自律と他律を考察。
2)大学の様式――プラトン以来の教育哲学という幅広い文脈を視野に入れて哲学者による教育実践や教育論から、哲学と教育(法)の内在的関係を考察。
3)大学の限界――真理の無条件的な探究をその本義とする大学は、真理への非合理的な信をも含むという問いから、大学における信と知の関係を考察。
在野の研究教育団体である国際哲学コレージュにおいて、大学の可能性と不可能性を問うことは、コレージュそのものの活性化やその存在意義の問い直しにもつながるはずです。

今後6年間の具体的な活動としては、以下の内容を構想し、すでに公募書類に記載しました。
1)セミネール「哲学の(非)理性的建築物としての大学」の開催(東京およびパリ)
ゲスト講師を交えて、パリと東京で毎年数回(最大8回まで)セミネールを開催します。
2)哲学と教育に関する合同セミネールへの参加(パリ)
国際哲学コレージュの内部組織として、今春、「教育の理論的研究国際センター」(Centre International de Recherches Théoriques en Pédagogie: CIRTEP)が創設されました。ジャック・デリダのGREPHの精神を継承しつつ、哲学と教育の共同研究を展開するこの部門に積極的に参与します。
3)国際フォーラム「哲学への権利」の開催(韓国、ドイツ、イギリス、中国、アメリカ西海岸など)
これまで開催してきた拙映画「哲学への権利」の海外での上映・討論会を、国際哲学コレージュの正規プログラムとして実施します。
4)雑誌「デカルト通り」の「日本の現代哲学」特集号の編纂
国際哲学コレージュの雑誌「デカルト通り」では、これまで、ギリシア、メキシコ、インド、チュニジア、ポルトガルといった各国の哲学特集が組まれてきました。在任中に日本の現代哲学の特集号を発刊します。

近年、私は、拙映画「哲学への権利」の上映・討論会や、「ジャック・デリダにおける教育の問い」の研究を通じて、国際哲学コレージュを外から分析してきました。映画でむしろ強調されたのは、コレージュの「理想」や「理念」でした。しかし、コレージュも人の手による制度ですから、創設から25年経った現在、問題は山積しています。今後は、プログラム・ディレクターとして、その一構成員としてコレージュの「現実」に6年間関わることになります。映画では描き切れていないコレージュの「現実」に対して、私なりの「責任」を果たさなければなりません。

国際哲学コレージュは国際性を掲げながらも、残念ながら非フランス人の活動は脆弱で、とりわけ非西欧系の研究者の実質的な参与は稀です。今回もアジア系のディレクターの選出は私だけでしょう(日本人としては、東京大学の石田英敬氏が2001-2007年度のディレクターを務めたことがあります)。今後はコレージュを日本の学術だけでなく、東アジア地域に幅広く連携させていく道筋を開いていきます。私がコレージュの「現実」に「責任」を負うというのは、コレージュが新たな関係に応答するべく道を開いていくことであるでしょう。

いずれにせよ、私ひとりだけでは、このような国際的な重責を6年間にわたって果たすことはできません。また、私だけの欲望と意志で、このわずかな外国人ディレクターの権限で実施できるさまざまな研究教育の可能性を占有するべきではありません。志を共有して頂ける研究者の方々や研究機関(大学、学部、学科、研究所)、もちろん、フランス語話者でもなく、研究者や大学関係者ではない一般の方も――すなわち、「哲学への権利」を求めるすべての人々に柔軟な連携、あるいは御支援を心より望む次第です。

hands 450
[ 2010/06/16 19:34 ] 国際哲学コレージュでの活動 | TB(0) | コメント(-)